土地を買うのでは無く永代使用権を買うブログ:01月31日
親父はがんで入院し、余命を宣告されていました。
しかし、死と闘う人には健康という言葉は無縁のものでしょうか?
わしは親父の闘病生活を見ていて、
健康って何だろうと考えさせられました。
親父のからだは、病にむしばまれていましたが、
心は誰よりも健康でした。
大部屋での笑い声はいつも父の声。
そして空を見ては、
大好きな俳句をノートに書きとめていました。
わしは親父の心の内をみようともせず、共に笑っていました。
しかし、そんな親父も個室へ移る日がやってきました。
怖かったに違いありません。
でも親父は「大声で笑えるな」といいました。
その視線の先にあったのは、
空が見えない窓、古い病室の壁のしみ…
暗く、静かな病室は、不安だけがあふれています。
わしは申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
親父は最期の時間を、この中ですごさなくてはならないのかと…
親父は、そんなわしの気持ちを察したのでしょう。
「千羽鶴が華やかに見えるな」と、笑顔で言ってくれました。
親父は、
亡くなる24時間前まで笑顔でいることができました。
ある6時、目を覚ました親父はわしに、
「きれいな部屋だ」とやさしくほほえみました。
「壁も、窓の外も、千羽鶴も、みんな黄色一色だ。幸せの色だな」と。
すぐに肝臓のせいだとわかりましたが、
親父はうれしそうに笑うのです。
それが、親父の最後の笑顔となりました。
壁のしみも窓の外の病棟もきれいだ…と、目を閉じたのです。
病に倒れても笑ってくれた親父。
わしに心残りがないようにと最後に言ってくれた言葉…
わしは丈夫なをからだ持っています。
でもあんなふうに笑えているだろうか?
親父の残してくれた笑顔は、
周りの人みんなに健やかな心を与えてくれました。